カラフトコンブ（昆布 / Saccharina latissima）

特徴

カラフトコンブは、寒冷地で冬作として生育するラミナリア科の褐藻類海藻の一種です。

英語での一般名はシュガーケルプ（Sugar Kelp）。乾燥させると、葉に甘い粉がつくことから、この名がついたといわれています。葉の形がラザニアヌードルに似ていることから、シーベルトやデビルズエプロンとも呼ばれることもありますが、1株の長さが3～4mにもなるため、ラザニアヌードルといってもかなり巨大なものとなります。日本では一般的に昆布と呼ばれているが、この名称は他の多くの食用にされるシソ科の植物にも適用されるため紛らわしいのが現実です。そのため、日本ではカラフトコンブと呼ばれています。

ヨーロッパにおける地理的な広がりと収穫期

シュガーケルプは、ヨーロッパでは大西洋岸、南はポルトガル、北はロシア北部の北極海に浮かぶ群島ノバヤゼムリャまで自生しています。また、アメリカのニュージャージー州に至る東海岸、太平洋岸、ベーリング海峡、日本近海でも確認されています（養殖も可能）。

冬の終わりから春にかけて最も成長し、1日あたり約1.1cmの速度で成長するが、最大で1日あたり4.87cmの成長速度が記録されたこともあります。6月以降は成長が鈍化し、夏の終わりには成長が止まることもあります。このような季節的な成長パターンにより、植物の年齢を判断することができる年輪や線が形成されます。

シュガーケルプは自然に生えているものだが、養殖にも適しています。商業的に養殖する場合は、岩などの海底ではなく、長いロープに植え付けることが多いのが特徴です。

また、カラフトコンブは部分収穫に適しており、栽培された植物の長いロープを刈り取ることができます。つまり、春に大きなバイオマスを収穫し、その後、夏にも収穫することができるということです。このように、種苗の展開から複数の収穫を得ることができるシュガーケルプは、海藻の養殖に最適な作物です。

栄養成分

シュガーケルプの正確な栄養価は収穫された月によって異なりますが、どの時期においても非常に多くの栄養素が含まれていると言えます。

昆布はヨウ素や鉄のほか、カルシウム、マグネシウム、カリウム、葉酸、銅、亜鉛、ニッケル、ビタミンKを豊富に含み、乾燥昆布100gあたりでシュガーケルプの場合、約69gの炭水化物と10mgのたんぱく質を含んでいます。

食品への利用

アジアではすでに広く栽培され、消費されているシュガーケルプですが、食物繊維やミネラルを多く含むことから世界的に食用としての人気が高まってきています。人間の食生活では、スープやサラダに入れたり、甘味料や増粘剤などとして利用されています。海藻は土の中で育った植物の10倍のミネラルを含み、心臓血管の健康を守り、癌を予防する抗酸化物質を多く含んでいます。シュガーケルプの健康に対する潜在的な効果には、他にも以下のようなものがあります。

• 甲状腺の健康改善　甲状腺は、体の代謝（食べ物をエネルギーに変えるプロセス）を調整するためのホルモンを生成しています。甲状腺が正常に機能するには、ヨウ素が必要ですが体内での製造はできないため食事から摂取する必要があります。ヨウ素が不足すると、甲状腺機能低下症という病気になることがあります。シュガーケルプにはヨウ素が大量に含まれているため、健康維持に役立ちます。

• 貧血予防　貧血になると赤血球が不足するため、体に十分な酸素が行き渡らなくなります。その結果、疲れやすくなったり、めまいがしたり、体力が落ちたりすることがあります。シュガーケルプには鉄分が適度な量で含まれているため、貧血になる可能性を低下させることが可能です。

• 糖尿病のコントロール　シュガーコンブには血糖値を調整する働きがあるバナジウムというミネラルが含まれており、2型糖尿病の方に効果があることが初期の研究で示されています。

• 体重管理　世界保健機関の研究によると、推定19億人の大人と4100万人の子供が体重超過または肥満であるという深刻な問題が報告されています。シュガーケルプには、オメガ3脂肪酸であるDHAと脂肪代謝をコントロールするタンパク質の生産を増やすカロテノイドであるフコキサンチンが含まれています。コネチカット大学の科学者たちは、マウスを使った実験で、シュガーケルプが体重のコントロールに有望であることを示唆する結果が得られました。この実験ではマウスに高脂肪食と低脂肪食を与え、シュガーケルプを添加したものをサプリメントとして与えられたものと与えられなかったものを比較しました。その結果、高脂肪食を与えたマウスでも昆布のサプリメントを食べたマウスは、体重が減少し、肝臓や脂肪組織がより健康的になったことが明らかになっています。
  

食品以外の用途

粉末状の乾燥昆布は、動物用飼料の添加物として広く利用されており、肉量と質の両方を向上させることできる効果が確認されています。また、牛から排出されるメタンガスを抑制し、温室効果ガスの削減や環境改善に一躍します。農業では、液体や粉末状の砂糖昆布エキスが肥料としてよく利用されています。

化粧品業界では、シュガーケルプの紫外線防御剤としての可能性や乾燥やハリ・弾力の低下などの肌トラブルに対する価値についての研究・利用が進められています。アクティファイト™（ラミナリアサッカリーナエキス）には、肌表面の皮脂分泌を抑えてテカリをなくし、マットな仕上がりにする効果があり、多糖類はニキビができやすい肌の炎症を抑える効果も確認されています。

カラフトコンブの興味深い非食品用途として、「ロリウェアストロー」が知られています。これは、「プラスチックのように見え、感じ、機能する」ストローで、自然的なプロセスや堆肥化によって消化されます。

このように、シュガーケルプの潜在的な用途は多様で豊富であり、未来に向けて変化する持続可能な製品という私たちの考え方に非常によく合致しています。

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